フィット1台で九州を食べ尽くす!23歳・一人女子の車中泊グルメ旅
東京のIT企業でエンジニアとして働いて2年。毎日パソコンと向き合い、シェアハウスに帰っては「今日もコンビニか」と思いながら冷蔵庫を開ける生活に、じわじわと疲弊していた。別に不満があるわけじゃない。ただ、もっと「本物」が食べたかった。観光客向けじゃない、地元の人が毎日通うような、あの感じの店に。
有給を7日間まとめて取れるチャンスが来たとき、迷わず「九州、行こう」と決めた。
安さで選んだ業務レンタカーが想像以上だった
福岡空港発着で1週間レンタカーを借りるとなると、費用はそれなりにかかる。宿泊費を浮かせるために車中泊をしようと決めていたので、その分レンタカー代は安く抑えたかった。いくつかの会社を比べていたとき、業務レンタカーという名前が目に入った。
法人向けっぽい名前だけど、個人でも借りられるらしい。料金を見ると、他社と比べてかなり安い。ただ気になるのは車種。車中泊するには後部座席がフルフラットになる車じゃないと厳しいから、思い切って電話で聞いてみた。
対応してくれたスタッフさんが丁寧で、「フィットであればシートをフルフラットにしていただけます」とすぐ教えてくれた。フィットなら燃費もいいし、女子一人で乗るには十分すぎる。即決だった。
「空港に着いたら連絡ください」と言われていたので、連絡すると送迎までしてくれた。車にはETC車載器もついていたので、今回の旅には本当に助かった。宿泊費を節約した分、食事に全力投球できる。これがこの旅のコンセプトだ。
福岡市内:観光客ゼロの小料理屋へ
最初の夜は福岡市内でウォームアップ。中洲の屋台は観光客も多いのは知っていたから、地元の友人にあらかじめ聞いておいた「住宅街の小さな小料理屋」を目指した。カウンター8席だけの小さなお店で、常連のおじさんたちに混じってひとりで焼き鳥を食べた。
焼き鳥なのに豚バラ(笑)。でもこれが福岡のスタンダードらしい。店主のおばちゃんが「東京から来たと?珍しかね〜」と笑いながら鶏皮をサービスしてくれた。初日から大正解だった。
佐賀・呼子:朝イカは地元のおばちゃん食堂で
翌朝、高速を使って佐賀の呼子へ。イカで有名な港町だけど、観光客が集まるお店じゃなく、港の近くにある地元向けの食堂に入った。漁師さんたちが朝ごはんを食べに来るような、メニューも値段も書いてないタイプのお店。おばちゃんに「おまかせでお願いします」と言うと、活きイカの刺身定食が出てきた。
透き通ったイカが皿の上でまだ動いていた。思わず「生きてる……」と声に出してしまい、隣の漁師のおじさんに笑われた。でもその鮮度は本物で、甘くて、やわらかくて、これまで食べたイカとは別物だった。
長崎・島原:ちゃんぽんは路地裏の老舗で
長崎ではちゃんぽんをどうしても本場で食べたくて、グーグルマップの評価より「口コミ数が少ないけど地元民のレビューしかない店」を意識して選んだ。島原の路地裏にある昭和感漂う食堂で食べたちゃんぽんは、スープがとにかく優しかった。野菜の甘さが溶け込んだミルキーなスープに、たっぷりの具材。「東京のちゃんぽんってなんだったんだろう」と静かに思った。
熊本・阿蘇:道の駅と地元スーパーが旅の本番
熊本に入ると、阿蘇の大自然に圧倒されながらも、目的はやっぱり食。道の駅で買った馬刺しをフィットの車内で食べた夜は、旅のハイライトのひとつだ。地元のスーパーで買った辛子蓮根と一緒に、缶ビール片手にひとり晩酌。窓の外には阿蘇の夜空。こんな贅沢、お金では買えない。
大分・別府:温泉と地獄蒸しプリンの朝
最終エリアは大分の別府。温泉で旅の疲れを流しながら、地元のパン屋で地獄蒸しプリンを買って朝食にした。観光地のお土産屋ではなく、地元の人が普通に買い物をしているパン屋のプリンは、素朴で濃くて、なんだか泣きそうになった。
1週間、フィット1台で食べ続けた旅の終わりに
福岡空港にフィットを返しに行くとき、走行距離計を見たら1,400キロを超えていた。距離制限は1,500キロだったから意外と走ったというのが実感。九州をぐるりと回って、食べて、寝て、また食べた7日間。宿泊費はほぼゼロ。その分の予算が、全部「本物の味」に変わった。
業務レンタカーを選んで、本当によかった。安いだけじゃなくて、電話一本でちゃんと相談に乗ってくれたあの対応が、この旅を後押ししてくれた気がする。次はもう少し長く借りて、もっと深く九州を食べ歩きたい。東京に帰っても、あの屋台のラーメンの味がまだ頭に残っている。